プロとして

プロのバレエダンサーで世界的に有名なK氏のドキュメントをTVでみた。その中で、「プロなんだからプロ意識を持て!」みたいなことを言っていた。
日本のバレエ界は世界から見るとまだあまり高いレベルにあるわけではなく、ダンサーたちの意識やその組織運営も同じようなレベルらしい。プロは自分の踊りに誇りを持ち、そして日々プロとして恥ずかしくないレベルになるため、もしくは維持するために自分自身を切磋琢磨しなければならない、ということのようだ。だから練習は真剣そのもの。練習風景の映像が流れたのだが、そこでK氏が激怒している姿が放映されていた。どうやら練習中に笑いがもれたことが気になったらしい。つまり、「プロとして最高の演技をするために、真剣に練習すべきなのに、なぜ笑う余裕があるんだ。」ということのようだ。

これはつまり、「楽しんで仕事するなんて甘えたことを考えるな!」ともとれる。

では、システム業界ではどうだろうか。以前は確かに規律で縛りつけ、「決められた作業を決められた品質で決められた期間内に終了しろ!」という文化があった。それが当たり前であったが、徐々に「楽しんで仕事をしたほうが、良いものができる。」とか「エンジアリングライフを充実させよう。」などという流れが出てきて、その方向に進んでいた。私自身、充実して作業に取り組めることが最も価値が高いと信じて作業をしてきた。そしてチーム全員がやりがいと充実感を持てるようにするにはどうするか、を日々考えてきた。

が、プロとして考えると、やはりそれらは甘えなのだろうか。

他にも「法廷に笑顔はいらない。」というキャッチフレーズでテレビに紹介されている弁護士がいる。冗談かと思ったが、以前、「業務中に笑うなんて信じられない。」とも言っていた。本当に彼の事務所では笑顔が禁止らしい。おそらく、K氏と同じ考え、同じ価値観の人なのだろう。

で、システム業界に照らし合わせてみたいが、そもそも我々ITエンジニアはプロと言えるのだろうか。

プロの定義は「それを職業として行うさま。専門的。」(goo辞書より)だとすると、我々ITエンジニアも当然プロだ。じゃ、K氏が言うように、笑いや笑顔など出す前に、もっと真剣に業務に取り組むべきだろうか。

いやいや、それを強制したり限定したりする必要はないだろう。プロとして最高の仕事をするためにはどうするかを考えればよいのだ。人によっては笑いながら楽しみながら仕事をするほうが最高の仕事ができる人がいるはずだ。また、笑顔など必要ない人もいるだろう。真剣に仕事に取り組み、最高の結果が出たときに達成感、充実感を味わう人もいるだろう。そういう人には笑顔はいらないかもしれない。

ある人から聞いたのだが、人間は6つの価値により、行動をするらしい¥。その6つの価値はそれぞれの人により異なるのだ。この話は又次回にしたいと思う。

ただ、最近、「楽しみながら仕事をしよう。」という流れを推し進めてきたが、ここでK氏が言うような、厳しい世界としてシステム開発を捕らえる考えも忘れてはならない要素だ。結局、いろんな考えがあることを常に意識し続けていかなければ、極端な流れにのせられたり、その場の流れで考えが変わってしまったりしてしまう。そういう思考回路だと、トラブルや問題が起きたときにどう対処してよいかわからなくなってしまう。常に、さまざまな考えがあり、さまざまなメリデメがあることを意識することが必要なのだろう。