チームの悪口って

いろいろつらかったプロジェクトだが、やっと終了して、次のプロジェクトに入ることになった。しかし、ふと冷静に考えると、自分のとっていた行動って本当に良かったのかな、と思うときがある。

プロジェクト内部では、自分は最善を尽くしてきた。サブリーダにいじめられながら、意味が無くとも、指示通りのドキュメント作成に最善を尽くしたり、問題を感じたら、何度かは問題を伝え、改善案も提示してきた。途中、かなりへたったが、これ以上がんばりすぎても自分がつぶれてしまうので、やむなく、プロジェクトに対し、消極的になった部分もあったが、その程度はやむを得なかったと思っている。しかし、私がいま少し後悔しているのは、このプロジェクトの惨状を少し誇張気味に同僚に伝えていたことである。

同僚はみんな気のいい人で「大変だね。」とか、「ボクはできないなぁ。」なんて私の話を聞いてくれた。しかし、もし反対の立場だったらどうだろう。

「愚痴ばかり言っていないで、もう少し自分で何とかしてみろよ。」

「問題意識があるなら、なぜ、それに対処しないんですか?」

「自分が参加しているプロジェクトをどうしてそんなに悪く言えるんですか。みんな仲間なんじゃないですか?」

そう。望んでいなかったかもしれないが、ひとつのプロジェクトチームの一員だったわけだ。そのチームの一員が自分のチームの悪口を言うって気持ちの良いものではないよね。たとえば、私はプロ野球楽天球団のピッチャーだとしよう。そしてインタビューされたときに「ウチは守備がへたくそだから、勝てないんです。もっとプロ意識もってほしいですね。これじゃ、私が全打者相手にすべて三振取らなければ勝てませんね。やってられませんよ。」と言うのと同じだ。たとえそれが事実であってもチームの悪口を平気でいうなんて、普通に考えてもいやなやつだな、と思う。同じことを私もやっていたんじゃないだろうか。

もちろん、このピッチャーは「守備練習をもっとしましょう。」とか、「休日も、自主トレしませんか?」などといい続けてきたが、誰も相手にしてくれなかったのかもしれない。しかし、だからと言って同じチームのメンバーのことを悪く言うような人はやはりチームメンバーとしては失格だ。ただ、もちろん、このピッチャーも精神的に参ってしまうことはあるだろう。いくら一生懸命にがんばっても何も反応が無かったり、無視されたり、命令だけされたり、つらいこともたくさんあるだろう。だから、ちょっとした反論のつもりで「ウチは守備がへたくそだから...」発言をしてしまったのだろう。私も同じ気持ちだった。動くソフトウエアを無視し、永遠とも思える時間をドキュメント作成に費やし続ける、こんなプロジェクトやってられるか!と。このピッチャーも私も同じように、誰かに愚痴でも言わなければやってられなかったんだと思う。あまりに理想を高く、「チームの悪口を言うな!勝てるようになるためにはどうすべきか考え実践しろ!」をそのまま続けるのはつらかったのだろう。あまりに理想を高く、そのままポジティブに行こうとすると、どこかで精神の破綻をきたすぐらいつらい場合もある。だから愚痴は必要だ。ただ、このピッチャーはメディアに言いつけたのがいけない。つらく苦しいとき、愚痴を聞いてもらう相手は、ごく限られた少数の中でなくてはいけない。このピッチャーの場合、いつもチームに対しては同じようなことを言い続け、自分も努力してきたのだろう。だから、チームメンバーに愚痴をこぼしてもまったく理解されないだろう。そういう時は、家族、親しい友人、上司などに相談すべきだろう。本当にそういう人がいない場合は、お金がかかるがカウンセラーに相談すると良いだろう。

で、私は、だれかれかまわず、愚痴を言ってしまった気がしている。今回私はだれかれかまわず、今のプロジェクトの愚痴(というか悪口)を言いふらしていた。たまたまやはり信頼できる仲の良い同僚や上司だけにしか言いふらしていなかったが、気持ち的には「聞いてくれる人には誰にでも言いふらす。」という感じだった。

やはり悪口を言ってよいのは、信頼できる相手だけ、にしなければいけない。


また、悪口をいうと、形から感情が形成され、さらに悪感情を抱くこともある。無理してポジティブにしなくてもよいが、大げさに、自分のプロジェクトの悪口を言うことは控えたい。悪口を言うことはやはり、一緒に作業していたチームメンバーを悪く言うことになるしね。今回、気に入らない人が多かったが、すべての人がそうではないし、ある面はよくある面は悪い、ということも多々あった。それを一面的にとらえ、悪口を言いふらし続けるのは、ちょっと考え物だ。今後はもう少し注意したいものだ。