Wikiを使った議事録

最近、Wikiを使用して議事録を書くことが多い。通常議事録は、以下の流れを取るのが理想だ。

  • 書記を決める。
  • 会議後、書記は作成した議事録の暫定版を出席者全員に渡す。
  • 出席者全員は、暫定の議事録を確認し、修正箇所や問題点を書記に伝える。
  • 書記は参加者から伝えられた内容を反映し、再度、出席者全員に渡す。
  • (上記を出席者全員の了承が得られるまで繰り返す。)
  • 出席者全員の了承が得られたら、承認の責任者が承認欄に承認サイン(ハンコ)する。
  • 議事録を公開する。(出席者だけではなく、関連する人または部署すべてに)

こういう流れが本来ではあるが、こんなことを毎回行っていたら、時間がかかりすぎ、業務が山積みの状態では先に進むことができない。こういう複雑で時間のかかる議事録作成が義務になっていると、議事録作成をしなくなるのが常である。皆さんの作業現場でも、議事録がいつも完璧に用意されている現場は非常に少ないのではと想像できる。しかし、最も問題なのは、議事録が作成されないことだと言うのは周知と思う。

議事録作成の目的は

  • 会議の内容をまとめることにより、後で思い出しやすくする。
  • 後々、言った言わない、などのないように、履歴を取る。
  • 参加していない人に伝える。

こんなところだ。それなら、もっと簡略化できるはずである。Wikiを使うと

  • 会議後、誰かが作成する。
  • 作成されたページを参加者が加筆、修正する。

これだけでほぼ、上記の目的を達成できるのである。これを私は「軽量化議事録」と呼んで重宝にりようしていた。しかし、問題がおきた。

問題は個人名などが入る場合、その個人に関する記述が適切で無いと、その人が非常に不快な思いをすることがある、ということである。

現実に、今回、こんな事件が起きた。

  • だれも議事録を書かないので、私が書いた。個人名も若干入っている。
  • 該当個人からクレームが入った。「公開する以上、責任をもて!」

これって、Wikiで議事録管理をしている場合、逆ギレパターンじゃないかな、と思う。最初の議事録で、「出席者全員に配布し、修正箇所や問題点を書記に伝える。」という流れのひとつと理解してほしい。責任を持てと言うが、責任を持つように議事録を維持するのは、参加者の義務ではないだろうか。誰でも気軽に修正できるWikiだからできるわけで、それを利用したルールだ。だれも最初にかいたWikiが承認済みとは言っていない。確かに、個人的に間違えたことが書かれていると不快な思いをするかもしれないが、それは自分で修正すればいい。Wikiを利用して議事録を作成すると言うのはそういうことだ。承認サインが必要なら参加者全員の確認欄を設け、そこがすべてOKになったら、責任者が凍結する、なんてルールでも良いかもしれない。(あまり、面倒なルールを設けるとまた議事録を作成しなくなるので、なるべくルールは少なめにするのが理想だ。ここはプロジェクトにあわせればよい。)


しかし、プロジェクトを進める上で、そのような文化を理解できない人もいると言うのが今回の問題点だ。

プロジェクトを進める上で、チームが一丸となって作業を進めなければ、成功は得られない。プロジェクトにはいろいろな人が参加している。どうしても、Wikiの議事録ルールを理解できない人もいるのだろう。そういう人への配慮も考えなければいけない。もっと時代が進めば、こういう考えを持った人はいなくなり、成功だけを目的に進めるのだろうか。否。ちがう。おそらく、変わらない。人は自分の名前が記載されているとそれだけでアドレナリン分泌量が増え、正確な判断ができなくなる人が多い。だからこそ、いろんな人が満足するように、進めていかなければいけないのだ。

私は、私のことを誤解して議事録に書かれ、Wikiで公開されても何にも思わない。勝手に修正し、修正履歴をわかるようにするだけだ。しかし、そういう人だけではないということをもっと深く体にしみこませて理解しなければいけない。自分の価値観で物事を判断してはいけないのだ。

ちなみに、今回問題がおきたのは個人の役割記述のこと。その本人からクレームが来たので、上記のような理屈は説明せず、こちらの不備の謝罪だけを行い、修正をし、必要なら修正のアナウンスを参加者全員に伝える、と本人には伝えた。すると本人からは

「参加者へのアナウンスは必要ない。以上」

とだけメールで返事がきた。(これは本当にこのとおりのメールをもらった。)こちらは相手が怒っているので、確かに怒らせてしまったことはわびなければいけないと謝罪した。しかし、非はどちらにあるだろうか。議事録作成のミスは当然ある。修正は参加者の義務である。それをせず、「不適切。発言に責任をもて!」と怒っておきながら、謝罪に対し上記のそっけない返事だけ。確かに怒っているのだろうけど、もう少し冷静に考えてほしいものだ。

いやなのは、議事録作成のミスをしてはいけない、というルールが蔓延することだ。結局そうなるとまた誰も議事録を書かなくなる。私も今回のことがあり、その相手が議事録作成の功労を考えず、「責任を持て!」とだけ怒るので、議事録作成は今後行わないことにした。(これはプロジェクトではなく、所属部署の話)

最初に議事録ルールを徹底させたほうが良かったのだろうか。いや、そういうルールで縛り付けるのも、決め事が多くなり、管理が難しくなる。問題がおきればその都度解決したい。本来は相手に正しい考えを伝えるべきだが、相手の怒りがさめるまでは待たねばならないだろう。また所属部署のことでもあり、社外で作業をしている私にとっては、あまり、この議事録に深い意味は無かったのだ。今後は、所属部署の議事録作成はしないことにしよう。これがせめてもの抵抗だ。「責任をもて!」と言われれば、「責任はもてません!」というのが私の答えだ。

うう、自分が上司になったら、こういう思いを部下には絶対させたくない。