人をほめる人

人をほめることは良いことである。誰しもほめられて悪い気はしない。逆にけなされると腹が立つ。

当たり前と言えば当たり前だが、実は私は「ほめられると相手に対し不信感をいだく。」という性格だ。なぜなら、たいていの場合、ほめている相手はうそを言っているからである。

  • 人が書いたドキュメントを読む。
  • まとまっている部分もあるが、かなりの部分が問題ありと思われる。
  • 相手にどう伝えるか。相手にダメなところを気づかせ、修正させなければならない。
  • 修正させるためには、相手にやる気を出させるために、まずほめよう。
  • 「とてもよくできています。ただ、いくつか修正をお願いしたい部分があります。」こう切り出すわけだ。

なにが問題か?別にいいじゃないか、これでプロジェクトが円満に進むじゃないか、と思われるだろう。一般的にはこれでよいのだが、私のようなひねくれモノは相手の意図を感じるわけだ。

  • 『修正しろ!って言っているんでしょ。気に入らないのならはっきり言えばいいのに』

こう思うのです。とっても問題に思うのは「相手に何かをさせようとしている」ことです。人間対人間、お互いにお互いを尊重すべきなのに、「相手を指導、もしくは相手を操作しようとしている」と思いませんか?気にしすぎ、とは思うのだけど、相手に何かをさせよう、と思っている人はたいていどこかでボロがでるもの。たとえば、毎回気に入らないドキュメントを提出してくると

  • 『なんで、毎回同じコトを間違えるのだろう。コイツいちどガツンといってやるか。いやいや、それでは言い争いになるだけだ。相手をいかににやる気にさせ、間違いに気づかせるか、を考えなきゃ。』
  • 「かなり、まとまりが出てきたね。でも、この部分は前回と同じく、こうしたほうがよくないかな。」

一瞬彼の顔には、ムカついた表情がでます。その一瞬を見逃しても相手に何かをさせよう、操作しよう、と思う心はさまざまな言動や行動のはしはしに見ることができるでしょう。「前回と同じく」というのは「前回も言ったのだけど、まだわかっていないみたいだから再度教えるけど、」といっているのである。感じる人はイヤミだな、と感じるはずである。

  • 「この部分はいいね。でも、ココは毎回注意しているところだけど、またミスしているね。」
  • 「この間違いを繰り返さないためには、どうしたらよいと思いますか?」

なんてどんどんいやみな面が現れてくるのだ。私はそういう相手を信じない。正直に言えばいいのだ。そのとき、自分も確かに不快になるだろう。しかし、お互いにお互いが尊重しあい、お互いの意見を交わしていれば、どんどんお互いが理解できる。正直な気持ちで相手に対応していれば、相手にも伝わる。お互いが納得して作業をする、そんな関係で仕事がしたいのだ。


しかーし。人間は難しい。正直に本当のことを言われるのがいやな人もいるのだ。「うそでもいいからまずほめてよ。やる気なくなるよ。」といわれたこともあるのだ。つまり、相手によって自分の態度を変える必要があるのだ。さらに、しかーし。相手によって態度を変える人は、何を考えているのかわかりづらいので、信頼を得にくいのだ。

システム開発ってとことん人間関係をいかに築いていくか、にかかっているんだな、としみじみ思う今日この頃である。