ToTS :-)

非常に厳しいデスマーチであったが、なんとかリリースもされ、今までサポートしてきた隣のチームもそろそろ最後の山を越えそうな状況になってきた。今回のプロジェクトは非常に過酷な状況で作業をしてきたが、結果的にはリリースし、今でも運用されていることを考えると、最終には、「プロジェクトは成功した」とみなされるのだろう。これで、またマネージャたちの成功体験が増えてしまったわけだ。どんなに悲惨でもリリースして運用されればシステム開発では成功になってしまう、というのが少々悲しい。また、同じことが繰り返されるだろう。と言うよりは、今回苦労したことを次回以降苦労しないようにするために、おそらく次回以降はさらに、厳しいスケジュールと厳しい品質管理、完璧なドキュメントとレビュー体制、細かな障害報告書を作成することだろう。そのようにしてデスマーチは同じ部署、同じ人、同じチームで繰り返されるのだ。

で、私はどうすべきなのか。
以前は口頭やメールで「こうすべきです。」とか、「効果的です。」「効率的です。」「コストダウンが可能です。」などと説得してきた。その後、テキストのみのメールよりは図を入れ、わかりやすくインパクトのあるPPTやPDFの提案資料を作成し、マネージャへ送り、さらに全体会議でも問題として取り上げた。

しかし、何も変わらなかった。

やはり、「過去に成功*1」しているマネージャはどこの馬の骨とも知れない一介のパートナーの意見になど耳をかさない。貸したとしても正論を振りかざされると却って腹が立ったり、意固地になったりして、結局はプロジェクトにとってもプラスにならない、ということも思い知った。もちろん、政治的な力が影響してくることもあった。

では、どうするか。

結局、急激に変えることはできない。トップダウンで政治力を使用して強制することは可能かもしれないが、そのような人脈などがないとこれは難しい。ならば、やはりボトムアップで草の根的に広めるしかない。

たとえば、課題管理のしかたでも、非常に非効率的なやり方を強制されている。そこを改善するためには各メンバにそのよさをまず理解してもらい、メンバから徐々に各チームへ浸透させればよいのだ。そのために私は最近シグネチャに以下のような文言を設定するようにしている。

 XXXXチーム fkawakam
 TEL:XX-XXXX-XXXX/FAX:XX-XXXX-XXXX
 
 障害管理について考えませんか?詳細は下記参照。(見られない方はご連絡ください)
 http://xxxxx/wiki/xxxxxxxx

こうして、メーリングリストに何かメールをする場合、常にこのシグネチャが付いてメールされるわけだ。すると、ふっと気になった人が自分の意思で見にくることになるのだ。人から強制されたわけではなく、自分から興味を持ってみているので、それなりに何かを感じてくれる人もいるようだ。今のプロジェクトではすべてのチームから私が利用しているWikiへアクセスできないので、そういうチームからはたまに問い合わせがある。「興味あるのですけど、見られません。資料いただけませんか?」と。で、今までに1チームからは「とても興味深かった。自分のチームメンバ全員に配布しました。」とメールが返ってきたときにはさすがにうれしかった。少しずつではあるが、このようにボトムアップでメンバへ改善案を理解してもらい、少しずつ組織を変えていく、こういうやり方がどうしても変わらない組織に対しては効果的なのではないだろうか。

さて、このやり方が本当に効果が上がるかは、時間をかけてじっくり確認していく必要があるが、やはり名前がほしいところだ。何か良い案はないだろうか。

  • KbS(Kaizen by Signature.)
  • PST(Pattern of Signature is Thinking.)
  • ToTS(Trigger of Thinking by Signature.)

英語が苦手だが、やはり英語略称にしたい気がする。カイゼンというと「悪いから良くしよう」と言う流れを感じてしまうので、人から言われると面白くないかもしれない。Thinkingというほうが私にはピッタリくる。まあ今の段階では勝手に一人で言っているだけなので、まあヘンでもよいだろう。*2

今回は「ToTS」としよう。またひとつ楽しみなプラクティスが増えた。:-)

*1:デスマーチは中断しない限りマネージャや組織にとっては成功する

*2:なにかご意見や案などあればぜひコメントください。