ポイント評価制度

「ほめる」を嫌ってはいるのだが、ポイント評価でベストメンバ賞などを与えるのはよい気がしてきた。ただ、これだけだと一般的には、

  • がんばった人には賞をあたえほめましょう、評価しましょう。
  • 評価された人はうれしいよね。次もがんばろうと思うよね。
  • ほかの人も賞が取れるようにがんばりましょう。賞がとれたらうれしいよ。自慢できるとおもうよ。

という流れで、モチベーションアップや目的意識を持ち、プロジェクトに役立てよう、ということだと理解されるのだと思う。しかし、私は以下のことに重点をおきたいと思う。

  • 価値の共有

つまり、何らかの状況に応じてポイントが加算されるのだが、それがプロジェクトにとって価値のあることなら、ポイントを与えよう、というものである。これは逆に言うと、ポイントが与えられる状況や行為はプロジェクトがそのことを価値がある、と思っているということだ。

今回、このポイント評価制度を思いついた経緯は実は、会議にあった。

実は、本日、2時間にわたりシステム分析のレビューがあったのだが、このプロジェクトは結構大きく、今の自分の作業にはまったくかかわりがない部分のことであった。確かにバージョンアップされる部分の一端を担っているのだが、大きな分析レベルの話はほとんど理解できていなかった。ただ今回そのレビューに参加したのは、すこしでも「システム全体の理解を深める。」という意図があったためで、会議主催者からの依頼もあり参加していた。実は今回の会議は自分と同じような立場の人が、8人ぐらい、古くから参加していた人が4名という状況だった。

会議はやはりその中心となる4名だけで進み、われわれは何も参加はできなかったというのが正直なところだ。たまに「わかってますか?」などと質問してくることもあったが、たいていの人は、「はあ、だいたい、なんとなく。」といったあいまいな受け答えをするしかなかった。

もちろん、会議中に質問をすればよいのだが、質問をするにはためらわれるわけだ。理由は、

  • 今回の会議はレビュー。その前段の知識を得るための会議ではない。理解を深めるのは付加価値程度だろう。
  • 質問をすれば会議の進行を妨げる危険があり、質問できない。
  • あまりにくだらない質問はやはりしにくい。ほかの人とレベル差がありすぎると感じている。

のようなものだろう。しかし、よく考えてみると会議の目的のひとつに、新たに参加した人たちへのシステム理解を深めてもらう、という目的もあったので、質問はしてもよかったのだ。

しかし、現実には上記のようなとまどいもあり、誰も質問をすることができなく、会議は4名のみで進み終了してしまったのだ。

自分は質問できれば理解がかなり深まったとは感じているが、会議の進行を妨げることができないため、かなり質問しようとうずうずしてはいたが、我慢してしまった。ただ、プロジェクトにとってはどちらが価値が高かったのだろう。

多数の人間を会議に参加させ、ある程度の時間を拘束するのであれば、それなりの意味が無ければならない。でなければ会議に出席する意味がない。私の中では会議のアンチパターンのひとつに「全員参加していますか?」といのがある。今回の場合は明らかに8名は参加していなかった。なので、会議の進行を妨げてもよいので、質問をしてもらうほうが、プロジェクトにとっては価値があったのではないだろうか。もちろん、進行が妨げられないように注意は必要なので、

「いまから10分間、質問時間にします。その間は、どんな質問をしてもOKです。」

として8名から質問を引き出してもよかったのではないだろうか。*1

で、ここでポイント評価制度になるわけだ。おそらく、「質問していいですよ。」といわれても先ほどの

  • あまりにくだらない質問はやはりしにくい。ほかの人とレベル差がありすぎると感じている。

という気持ちが問題になり、あまり質問が積極的に出ないかもしれない。なので、

「どんなくだらない質問でもよいので質問してください。質問したら内容ではなく、件数にそれぞれ1ポイント差し上げます。」

といえば、どれだけシステムを理解してもらうことにプロジェクトが価値を見出しているか、どんなばかげた質問をしてもそれは価値があると思っているのだ、というのが伝わるのではないだろうか。

ほかにも、

「定例会議は廃止しましょう。」

と誰かが提案したとする。通常それはやるべきでよいことなのに、あえてそれに反対している。しかし、理由がありそれが本当にプロジェクトのことを考えた提案ならポイント加算する、なんてしてもよいかもしれない。
プロジェクトによってはまったく逆の提案もありだ。

「もっと完璧にドキュメントを書きましょう。」

なんてのが評価されるプロジェクトがあるかもしれない。*2逆に

「ドキュメントは必要最低限にしましょう。納品前に見直しや再作成をしましょう。」

という提案のほうがぴったり来るプロジェクトがあるかもしれない。それはプロジェクトのさまざまな状況に応じてケースバイケースだ。

採用されなくても言うだけでポイント加算、なんてあってもよいかもしれない。

伝わりにくいこと、やってほしいこと、やってもらうとうれしいこと、みんなが喜ぶこと、などにポイントを与えることがわかると、プロジェクトの価値が理解でき、メンバ全員が同じ価値を共有しやすくなるのではないだろうか。これは是非やってみたいプラクティスだ。

これは報酬思考ではないことには注意してほしい。報酬は与えるがあくまで名誉レベル。与えても、打ち上げ時の会費免除程度だろう。あくまで名誉なこととしてWikiなどに記しておき、みんなに話題を提供し、何が価値が高いかを感じ共有するための手段として利用したい。

*1:時間を区切れば進行にも影響は少ない。

*2:私は反対だけどね。:-p