ペアプロ嫌い
今、一緒に作業している方で一人ペアプロが苦手な人がいるようだ。まだ、プロジェクトに参加して3日目なので、勝手もわからないのだろうが、朝会の前に私に相談しに来た。
- メンバ:今日は一人でソースをじっくり見て、理解したいのですけど。
- 私:あれ、昨日ペアプロしてある程度わかってきたんじゃないのかな?
- メンバ:なんとなくわかるんですけど、じっくり理解してからペアプロしたほうがよいと思うんです。
- 私:わからないところは2人で相談しながらやればいいんだよ。
- メンバ:でも、わからないから迷惑もかかるし...
- 私:ペアプロでは相手の迷惑など考えているより、自分がわからないことを相手に伝えればいいんだよ。相手がわかっているのなら、相手から教えてもらえるよ。それに、そのほうが一人で悩むより、早く理解できるんじゃないかな。
- メンバ:でも...
うーん、なんとなくやりたくなさそうだな。無理強いをするのはよくないよね。何かいいにくい理由があるのかもしれない。
- 私:そうか。じゃ、今日は一人でじっくりソースを理解してみますか?
- メンバ:(急に笑顔になって)はい。そうします。
- 私:じゃ、今日の朝会でもう一度みんなの前で言ってください。だれか、問題だというようなら、フォローしますね。
こういうやり取りがあったのだ。普通に考えるとペアプロが問題なのは、初期段階においては進捗効率が悪い、という点だ。しかし、今回は進捗は気にしなくてよいことになっている。(最終的にはあるが、1回目はそれより理解を深めることを重点としているのだ。)
こういう人は、ペアプロの良し悪しというより、他人と一緒に作業をすることが苦手なのだろう。確かに、ペアによって、また言い方によってはいろいろな捕らえ方が可能になる。
もしドライバになるとナビゲータからいろいろ突っ込まれる。言い方の良し悪しもあるが、また捕らえ方もさまざまだ。
- あっ、違います。ちょっと貸してください。
- (なんだよ、いまお前が言うとおりにしようとしたのに。)
- (お、やる気満々だな。さて、お手並み見せてもらおうかな。)
- 仕様書にはそう書いてありませんよ。
- (うるさいな、まずは動くコードを書いてからでもいいじゃんか。)
- (をを、さすがペアプロ。書きながらレビューされている。)
- その変数名でないほうがよいのは?
- (細かいな。変数名ぐらいで。)
- (確かに。自分でもイケてない、と思っていたんだよね。)
- 先にテストコードを作りましょうよ。
- (なんかほかの人の言うことを鵜呑みしすぎなんじゃないの。TDDなんて現場ではできるわけないだろ。)
- (ぐ、忘れていたぜ。TDDの基本はテスト作成、失敗、成功を繰り返すんだよね。)
- F4押してください。
- (なにそれ、自慢?)
- (をを、新しい技を覚えられたぞ)
- それはこちらを見るとわかります。
- (なんでいちいち説明されなければいけないんだよ。落ち着いて調べさせてよ。)
- (どれどれ)
ドライバからナビゲータへの突っ込みもまたたくさんある。
- ほら、簡単でしょ。
- (なにやっているのか、まったくわからないよ。)
- (す、すごい。)
- じゃ、そこはStrategyパターンにしよう。じゃ、インタフェイスから作るね。
- (パターンなんてよくわかんないよ。ちょっと自分が得意な部分だがあるからってすぐ自慢するなよ。)
- (Strategyパターンわからないな。質問しよう。)あの...
- えっ、こんなことも知らないの?
- (はいはい、ごめんなさいね!!)
いろいろきつい言い方もあれば、同じ内容を話していても、人によって捕らえ方はまちまちだ。
また、性格によって自分の意見を相手に伝えられる人と、伝えられない人もいるだろう。自分はペアプロに向いているほうなのかも知れない。どちらかというとドライバがやりたい。しかし、人によってはドライバもナビゲータも苦手で、ペアプロがストレスで会社に来たくなくるぐらいの人もいるかもしれない。
確かに昨日はこのメンバのペアはおとなしく、このメンバがナビゲータばかり担当していた。「たまには交代したら?」とか突っ込んだんだが、なかなかドライバをやりたがらなかったようだ。やっぱり突っ込まれるのを心配していたのだろう。
今回のプロジェクトでは「ペアプロで」と発注元にお願いされた経緯もあるが、あまり向いていない場合は、1日に何度かレビューをして大半は静かに作業させてあげるほうがよいかもしれない。仕事を苦痛に思うとどんどん悪い方向へ行く。そうはさせたくないものだ。本当はペアプロの効果を感じてもらい、実感してもらい、共同作業の楽しさも味わってほしいのだけどね。
しかし、ペアプロはかなりネタが満載だな。
- ペアプロって何でいいの?
- ペアプロでの注意点(勝手に一人でやったり、相手を尊重しなかったり。)
- ペアプロストレス(今回のようなケース。じゃ、どうしたらよいか。)
- ペアプロサイコー(実は、今日は私はそんな感じだった。リファクタリングがあれよあれよと進んで、とってもよいコードになったように思うよ。それに2人なので喜び2倍だね。)
なんてところを一度どこかでまとめてみたいものだ。こんな内容をペアプロ嫌いに読んでもらえれば、少なくとも会社に来たくないほどは苦痛にならないのではないだろうか。